神の光 2024年1月号巻頭言 命のいとなみを

天地海めぐる月日の心しれ 昔もいまだ生(しょう)はかはらん

 年あらたまる令和六年元日の正零時、教祖さまの詠(よ)まれたこのお歌を三度復唱し、続く「新玉(あらたま)の年立(とした)ち還(かえ)る今日の吉日(よきひ)に・・・・」の祝詞に耳を澄まして聞いていると、神前から生じた淑気(しゅくき)があたり一面に広がり行く状(さま)が感じ取られ、無事に新年を迎えられたことにたいする感謝とともに、凛(りん)とした気持ちが芽生えて来て、心身ともに気が充ち足りて引き締まってくる。

 この天地海のお歌、親神さまの不変な親心、御たんせいを称(たた)えられて詠まれたもの。大いなるものに生かされながら生きる、これを肝(きも)に銘じ、また、教祖さまは「正月は関所」とも仰せられていることを勘考すると、「お前は、有限の寿命の中で今年一年をどのように生きるのか」と毎年のことだが問われていることに思い至る。

 誰しもが親神さまから与えられた有限の命。だからこそ命の重さ、その尊さに気づかされ、何よりかけがえのない「今」を大切に生きて人を慈しむ、人間が持つ思いやりの本質に立ち返る生活(くらし)が出来たら喜ばしい。人が人らしく生きること、それには何時の時代でも「しまつつつしみたしなみ」の実践が肝要になるだろう。しまつは揺れ動く心の整理、つつしみは憎悪など、感情の起伏(きふく)に押し流されぬ心のブレーキ、たしなみは学び、修養して自己形成への道と受け止めれば、これに勝るものはなく、人の本性と教祖さまが仰せられた「松農心(まつのうしん)」即ち「和合たんせい」に根ざした歩みが出来るのではないだろうか。思えば、人と和してこそ最上の幸福感を得られる人の道と感じ入る。

 この一年、「安楽な道に迷わぬように気をつけべし」「身をつぶすも良き身となるも心一つ、こころの定め第一」との教祖さまのおさとしを糧にして、折角の人生、一歩また一歩と大切に歩んで行こう。