神の光 2023年11月号巻頭言 一火一水
十一月は泰祭の月。取り入れの御祭り。
作物の出来不出来は天候に大きく左右される。地球温暖化の影響で年々平均気温が上昇し、特に今年は記録的な暑さとなった。東京都心では、三十五度を超える猛暑日が二十六日あり、ー度を超える真夏日は猛暑日を含めて八十六日を数えた。「暑さ寒さも彼岸まで」これまでは九月の声を聴けばたまに暑い日があっても、朝夕は秋の気配が漂い暑さも秘らぐの通例だった。しかし、九月の二十日になっても残暑は続き、十一日間連続で真るほど異常だった。コメの作況指数は例年並みとの報道もあるが、信徒さんからは、暑すぎたためにコメが白く濁る「白未熟粒」や、穂の実のつきが悪く概化して不作との声も寄せられる。この暑さ、日中は外に出るのも憚られ、夜も熱帯夜が続き、ともすれば命にかかわる熱中症のリスクがつきまとっていた。十月に入ると気温はさすがに落ち着いてきたが、巷では第五類になったとはいえ新型コロナウイルスに加えてインフルエンザの流行もあり予断は許せない。
泰祭の「泰」、教祖さまの時代は「𣳾」が広く用いられていたようだ。辞書を引くと「泰」は「ゆったりと落ち着いている。ゆとりがある。ゆたか。大きい。やすらか」とあり、また異体字として【𣳾】も掲載されている。教祖さまは、この「𣳾」の一字を分解して「一火一水」とお開きされた。万物の生成は、すべて親神さまのお働き、自然の営みに起因するが、中でも生命の基本的な生成は相反する性質の火と水の御たんせい、和合に因っている。実際に水のないところでは万物は生まれず、日(火)のないところでは生命は育たない。故に教祖さまは、生命を育む火水の御たんせいを親神さまの親心の根元とまでみなしている。
教祖さまは「和合を以って天下みな実るもの」と仰せられ、外にも「とにかく右と左は和合せねばおさめにならんもの」と相反するものの和合を説かれている。泰祭は親神さま、火水のはたらきに対する報恩感謝の御祭りであれば、どなた様も親神さまのご加護を頂くお蔭で今日無事あることに思いをいたして、ご家族連れ添ってご参拝願いたい。