神の光 2024年2月号巻頭言 後悔せぬためにも
元日の朝は快晴、風も穏やかで小春日和ののどか新玉の年を迎えたと思いきや、午後の四時過ぎ石川県能登地方を震源とする震度七の巨大地震が発生し、大津波警報も発令されて、珠洲市や輪島市など周辺一帯は、火災や家屋の倒壊、流失などで甚大な被害をもたらした。八日現在、警察、消防、自衛隊等、総力を挙げた救出活動が続けられているが、道路の分断、積雪などの影響で救助は難航し、死者数は石川県で一六八人、安否不明者は三二三人にのぼっている。地震発生の翌日には、被災地に支援物資を運搬するために任務に当たった海上保安庁の飛行機が日航機と滑走路上で衝突、両機とも炎上し、機長を除く海保機搭乗の乗員五人の人命が失われた。日航機の乗員乗客三七九人は避難指示がよく緊急脱出して全員無事で九死に一生を得たが、この事故は二次的災害ともいえ何とも痛ましい出来事だった。
ここ近年は、新型コロナウイルス、インフルエンザの流行に加えて、夏には異常気温により真夏日、猛暑日や熱帯夜の増加が起こって熱中症による命のリスクも高まり、外にも台風の大型化、線状降水帯による局地的豪雨で起こる大規模な土砂災害等、自然災害が年々異常さを増して大きくなっている。日常、平穏無事にあると思っていても、首都直下地震や南海トラフ地震等の大地震の発生確率が今後三十年の間に七十%と予想されていることを考えると、災害は絶えず隣り合わせにあり、何時自分の身に降りかかるるかもしれない。遭遇する状況によっては助からぬ確率も高かろうが、それでも油断は禁物で、親から子、親から子へと続く折角の授かった命ならば、リスクを軽減するためにも防災の知識、備えは学んでおく必要がある。
小紙の先号にも書いたが、教祖さまは「正月は関所」と仰せられている。一年永らえて新しき年を迎え、お前は有限の寿命の中でこの一年どのように生きるのか、と問われているが、思い起こせば「今を生きる」以外に手だてなし。「身をつぶすも良き身となるも心一つ、こころの定め第一」との教祖さまのおさとしに寄り添えば、移り行く覿面の今に心を置いて飽くことなく、今なすべきたんせいに努めよう。後悔せぬためにも。