神の光 2025年6月号巻頭言 質素こそ自由

去る三月二十九日、三十日の立教百五十年祭、教祖百三十天祭が教会長重立を始め教信徒さんの御たんせいと、地元有志の方々のご協力のお蔭で盛大且つ無事に奉仕できて安堵したのも束の間、雑多な事後処理に追われて気がつくと季節は移ろい、四月はとうに過ぎ去り五月も半ばを数え、あの天祭時の冷雨の寒さから初夏とはいえ、ひと月半で気温はぐっと上昇し今日も夏日となっている。折角いただいた命・健康であれば、こまめな水分補給を心掛け、室温管理などにも注意を払って熱中症対策を施すことも、一人一人に課されたたんせいといえる。

「世界で一番貧しい大統領」と言われた南米ウルグアイのホセ・ムヒカさんが亡くなった。その生き様は最後まで質素倹約に生き、温暖化など地球環境の悪化でもわかるとおり、現代のt大量消費社会を「持続可能ではない」として、厳しく批判もされた。残された言葉には、「多くのものを必要とする者が貧しいのだ。多くを求めれば人生の時間はいくらあっても足りなくなる」とあり、また、「もし買い物の代金を払うために働いて、働いて、年を取るまで働き続けたら、最後に大きな疑問が生じて来る。『私の人生は何だったの?』」と。そして何よりは、「強制されたものではなく、自分の好きなこと、選択したことに人生の時間を費やすことこそ"自由"であり、その為にはシンプルに生きる道を選ぶことである」と言っている。

教祖さまは、際限なき欲望を抑えるためには「しまつ・つつしみ・たしなみ」を説かれた。欲を小さくして足るを知る「少欲知足」の言葉も世間にある。「自由」とは、どんな環境でも、流される事無く自分を見失わないこと、自分に由る事であれば、神教の一説「心は物事の縁以て千々に動く」が、「心常に気を使ひて、気に使はるる事なし」で主体は何時も自分にある。その教祖さまの絶筆は「undefined子」。undefinedは一天四海を現わし全世界、「人はみな松の枝葉」のとおり、出来、不出来にかかわらず皆「親神の子」という意味である。限られた同じ星に生を受けたのであれば、争うことなく、お互いに仲良く和合してたんせいに励めとの遺訓である。ムヒカさんを悼む。