神の光 2025年10月号巻頭言 信仰のあゆみ
地球の温暖化や海面水温の上昇等の影響から、ここ数年、毎年真夏日、猛暑日などの日数が増え続け、今年は八月五日に群馬県の伊勢崎市で過去最高となる41.8度の最高気温を観測した。また、歴代の最高気温ランキングでも過去の記録を各地で次々と塗り替えて、 今年だけで四位までを独占するほどの耐えかねる暑さがこの夏全国に広がった。当然、その高温多湿の暑さにたいして連日熱中症がニュースとなり、適度な水分補給に不要不急な外出を避けるなどの対策がやかましいほどに報じられていた。
そんな猛暑日が続く八月三日、教祖百三十天祭を記念して明治七年における教祖さまの富士入定修行の御跡を辿り、本庁のある登戸から富士吉田までの約百キロの道のりを三日かけて行脚しようとの有志五人が旅立って行く。誰しもが貯易とするこの暑さに無謀なことをと思う中、本人たちもしかり、一歩一歩に心を託して目的を果たしたいとの強い決意と同時に、やりきれるだろうかとの不安が同居しての始まりとなる。しかし、その不安に対処する工夫も忘れていない。一番の熱中症対策には、これまでは通常朝6時頃に出発し、日中五十分歩いて十分休憩のベースで行脚したが、今回は三日間とも日の出前の四時に出発。涼しいうちに休憩をはさみながらも一定の速さを守って歩めるだけ歩み、そして、日が高くなった日中はペースを落とし、休憩も多めにとって身体を休める。何よりは、自分勝手な思い、行動を慎み、同行の調子の浮き沈みに合せて無理を強いることなく、互いを労わり、配慮する心だったろう。
結果、熱中症も克服し、時に萎えかかる思いも乗り越え、目に見えぬ力を親神から与えられるのか、各々の信仰が行脚を通して確立して行く。皆に共通するのは、一歩また一歩と歩を進める中、「たんせいはすたらんもの」との思いだったことだろう。教祖さまのみ教えの一つに、「難苦つくすれば、一日の光をいただく」とのお言葉があり、行を通して「心をつくり人となる」ことが実感でき、信仰によるお蔭、有り難さが身に染みてくる。「人生はたんせい」このおさとしを忘れることなくこれからの人生に生かしてほしいと切に願う。